故人が遺すもので最も処理しにくいもののひとつが、個人が制作した美術作品です。
「芸術家」と言っても趣味で描いていた人から、仕事として関わっていた人、地域で知られた画家、全国的に名のある芸術家までさまざま。だからこそ、ひとくくりには語れません。
実家じまいをまだ先延ばしにできる場合は、いったんそのままにしておくのも選択肢のひとつ。
しかしいざ家を手放す段階になると、作品の処遇を避けて通ることはできません。
芸術品として価値があるように見えても、「売れるかどうか」はまったく別問題。中には、相続税だけが重くのしかかり、遺族が苦しんだという話もあります。
どう向き合えばいいのか、むしろ情報が不足している分野でもあります。
趣味で絵画や彫刻をしていた故人の作品
思い出となるような作品、その人らしさが出ているような作品だけを残し、あとは所縁のある人に譲るか、処分するしかありません。
額縁やキャンバス木枠など、再利用できる部分はリサイクルに回すこともできます。処分には心理的抵抗があるでしょうが、すべてを残すことは不可能かと思います。
関連のあるお仕事をしながら、絵画や彫刻を作品展などに出品していた故人の作品
展覧会への出品歴があったり、美術関係の仕事をしていた故人の作品も、最終的な扱いは前項と同様になることが多いようです。
作品は場所をとり、保存も大変です。自宅には置ききれず、コンテナを借りれば費用がかさむ。
「残す」という選択には、スペースとお金の現実がついて回ります。
地域で有名な芸術家・肩書を持つ芸術家
生前から懇意にしていた美術館や施設がある場合は、寄贈という形で収蔵を依頼できることもあります。ただし、美術館にも保管スペースに限りがあります。
生前に収蔵されていなければ、亡くなってからの寄贈は難しいケースが多いそうです。
地域の文化施設に頼めることもありますが、「その土地の美術史に欠かせない人物」でなければ難しいというのが現実。
そうでなければ、大半の作品は残念ながら処分されてしまう運命にあります。

美術品買取専門店の獏さんでは、
- 作者不明の絵画
- サインが読めない絵画
- 汚れ、ダメージがあるもの
- 印刷、ポスターかもしれないもの
- 昔から飾ってある古い作品
といった絵画でも査定と買取をしているそうです。(全て買取してもらえるわけではありません
私もそう思っていましたが、絵画・美術品はブランド品の様に『誰が作った』かが重要と思っている方が大半だと思います。
獏さんによると、それも重要な要素ではあるが、評価の基準はそれがすべてではなく、価値が無いかも…と思うかもしれない上記のような作品も最大限評価してもらえるそうです。
全国どこでも無料査定に来てもらえるので、私もいずれお世話になる可能性は高そうです。
生前も死後も人気のある芸術家
一部の恵まれた例として、遺族が個人美術館を設立することもあります。
しかし、維持管理費・固定資産税・運営費など、想像以上の負担がかかります。
十分な資産と時間がある人でなければ現実的ではありません。
奥村土牛の遺族が直面した「相続税の重み」
書籍『相続税が払えない: 父・奥村土牛の素描を燃やしたわけ』によると、日本画壇の巨匠・奥村土牛の遺族ともなると書画の資産価値は4億1220万円!現金や不動産も合わせると4億7000万ほどの相続税が発生し、苦しんだようです。
とはいえ、価値があると言っても簡単に買い手がみつかるわけではない。絵画というのは「財産」でありながら、「現金化が難しい財産」なのです。
この本を読むと、芸術が遺産になることの重さを痛感します。
芸術家の創作は、死ぬまで続く
多くの著名な芸術家が、死の間際まで作品を作り続けていたという逸話を残しています。
身近なところでも、高校の美術教師だった恩師は絵筆を握りながら亡くなりました。彫刻家である別の恩師は、今もなお小さな作品をつくり続けていました。
「息子から「もうこれ以上ゴミを増やすな」と言われる…」と少し笑ってつぶやかれました。それでも手を止めることはありません。
――その姿を見て、私は胸の奥が少しざわつきました。私自身も、父の描く絵が増えていくのを、複雑な気持ちで見ないふりをしています。
我が家の場合
たとえば私の父は、国立大学の名誉教授クラスの画家で美術団体の理事長や日本最大級の展覧会で審査員を務める立場にいます。実際の作品販売の履歴もありますが、世間的な「市場価格」がはっきりしない。相続のときにどのような評価をされ、どのような処遇をしていくことになるのかが、わかりにくいケースだと思います。
実際、相続税がかかるのかどうかもとてもグレーで、実務的にも「ケース・バイ・ケース」なんだとか。
市場性なしと判断されれば課税対象外になることもありますし、逆に、生前に売買実績がある場合は、その販売額をもとに遺族や税理士が時価として申告することになるそうです。
申告が必要なほどの資産規模でない限り、国税庁が動くことはまずなさそうですが、
生前の販売実績や公的な活動歴によっては、確認のために査定人(精通者)が派遣されることもあるそうです。
祖父の家、実家のアトリエ、玄関、借りている別アトリエ――
どこも父親の作品で埋め尽くされています。スケッチブックや道具類も山のよう。
できることなら、代表的な作品は価値を感じてくれる人や施設に寄贈したいけれど、それが叶うかどうかは、運と縁にかかっているのだと思います。
おわりに
この記事は、いまのところ机上のリサーチにすぎません。いずれ実家じまいを迎えたとき、何から始めればいいのか、誰に相談すればいいのか今はまだ想像もつきません。またその実体験をもとに続編を書きたいと思っています。
同じように「捨てにくい作品たち」と向き合う方に、少しでも参考になれば幸いです。

美術品買取専門店の獏さんでは、
- 作者不明の絵画
- サインが読めない絵画
- 汚れ、ダメージがあるもの
- 印刷、ポスターかもしれないもの
- 昔から飾ってある古い作品
といった絵画でも査定と買取をしているそうです。(全て買取してもらえるわけではありません
私も含め、絵画・美術品はブランド品の様に『誰が作った』かが重要と思っている方が大半だと思います。
獏さんによると、それも重要な要素ではあるが、評価の基準はそれがすべてではなく、価値が無いかも…と思うかもしれない上記のような作品も最大限評価してもらえるそうです。
全国どこでも無料査定に来てもらえます。
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