さあ、片付けです。実家じまい④-財産、借金がどれだけあるのか全然わからない…財産調査のチェックリスト(~3か月)ではまず最重要課題である負債の調査と不動産、預金などの捜索をおこないました。ここからは片付けと財産になる可能性のある物品の整理です。
実家で遺品・不用品の山を前に、白目で立ち尽くす自分の姿が見えるようですね。とにかく捨てられる物は捨てて、整理をする隙間を作らないといけません。
順番としては
- 明らかなゴミを処分する
- 貴重品・書類を分けて保管
- 財産になりそうなものをリストアップ
- 各専門家へ相談
- 目録づくり
- 相続人で共有 で遺産分割協議に臨みます。
ここでは物は溢れているが、ごみ屋敷ほどではないという設定でお話しています。

①まずは明らかなゴミを処分する
先のページで「遺産分割前に財産を勝手に売ったり捨てたりしてはならない」というワードがありました。
ゴミと財産の境界線はどこにあるのでしょう?
遺産分割協議前に捨てても良い可能性が高いもの

以前、母が死んだ時、伯母から「形見として衣類が欲しい」って言われたことがあります。遺産分割に影響しないものでも、きれいな服や趣味の品は形見分け品として、少しとっておいたほうがいいのかも。
- 親が普段着ていた衣料品
- 使用済みの日用品(歯ブラシ、タオル、下着など)
- 腐った食品
- 壊れて修理不能な家電
- 使用期限が切れている薬や化粧品
- カビや虫がついた布団
- 衛生面や安全面に関わるもの(生ゴミや害虫の温床になるもの・危険物)
- 個人の趣味でも価値が付かない雑誌やカレンダー(ただしサイン入りや創刊号は要注意)
- 新聞やDM郵便など紙類
- 再生不能なCD・DVD・カセットテープ
- 枯れた植物の植木鉢や市場価値がない植物
- 思い出の品としての写真類
まずは誰が見てもゴミとわかるものから少しづつ片づけましょう。不安があるときは兄弟や他の相続人に「これは処分でいい?」と声をかけながら行うとスムーズにいくでしょう。

庭木は財産にあたるの?

地植えの樹木は「土地の一部」と見なされるから、不動産に含まれて評価されることがあります。ただ、一般的な庭木は固定資産税の評価にはほぼ反映されないので実際の相続財産目録には記載しないケースが多いです。
注意が必要なのは盆栽や希少な観葉植物などです。それらを選り分けておいて、その他はほぼゴミ扱いでまとめて回収業者などに依頼すると楽です。
👉 相談先:遺品整理業者・不用品回収業者
時間のない中、大量のごみを捨てに行くのは大変な作業なので、遺品整理業者や不用品回収業者にお願いすることを検討するのもよいかもしれません。
比較サイト【エコノバ】は、不用品回収業者だけではなく、遺品整理業者の比較もできます。
遺品整理業者であれば、家の中にあるもの全てを遺族に確認しながら、処分するものとそうでないものを分けるという業務も行ってくれます。遺品の鑑定も一緒にしてくれるところもあるようです。遺品整理士が在籍している業者さんなら安心できそうです。
対して不用品回収業者は、遺族が処分と判断して家の外に出しておいた不用品を、回収していくだけの作業になります。相続人同士の合意が取れているなら任せて大丈夫でしょう。
② 貴重品・書類を分けて保管
写真を撮って、エクセルやノートに簡単に「品名+状態+場所」をメモしておくと良さそうです。
不動産や借金関連の手掛かりがまだ出てくる可能性もあります。
相続財産となる可能性があるもの(要確認)
- アクセサリー、貴金属
- 株券・投資信託・社債
- 貴金属・宝石
- 美術品・骨董品・コレクション(絵画、陶器、人形など)
- 盆栽・高価な蘭・希少植物
- 車・バイク・農機具(古くても資産価値あり)
ブランド品の宅配査定と買取をしてくれるサイト。価格に納得できなかった場合は送料無料で返送してもらえます。
👉 相談先:司法書士・弁護士・税理士、専門の鑑定士や査定買取専門店
不動産や登記 → 司法書士
相続トラブル → 弁護士
相続税・財産評価 → 税理士
扱いがケースバイケースなもの
家具は相続財産になる?
家具も“動産”とされることが多いため、相続財産となる可能性があります。
民法では、家具や家電も「動産」として財産にあたるようです。ただし実情は、価値がほとんどない中古家具は「形見分け」や「不要物」として処理されることが多いようです。
財産として扱われる家具の例
- 高級家具(カリモク・マルニなどブランド家具)
- 高級家電(最新モデル・オーディオ機器)
- アンティーク家具(桐箪笥・漆塗りの棚など)
- 美術的価値のある家具(作家もの、工芸品的な椅子やテーブル)
財産とされないことが多い家具
- ニトリ・IKEA・ホームセンター製品など一般的な量産家具
- 長年使用して劣化したタンスやベッド
- 大型すぎて中古市場に出せないもの
自転車
- 人気ブランドの自転車(例:トーキョーバイク、ブロンプトン、ロードバイク)は財産として扱う場合が多い。
- ママチャリ、古い電動自転車は処分対象や形見分けになることが多い。
デジタル資産
- 仮想通貨、オンライン証券口座、ブログやYouTubeの収益権は財産となる場合が多い。
- 収益化していないSNSアカウントなどは財産とみなされない。
「これは財産かも」と思った家具や物は写真を撮ってリストアップ。
👉 相続人間で「形見分けで欲しい人がいるか」を話す。
👉 価値がありそうなら鑑定やリサイクル業者に相談。
👉 価値がなければ不用品回収業者で処分。
判断が微妙なもの
- 古い切手・記念硬貨(コレクター需要あり)
- 古い玩具やフィギュア(レトロ品が高値になることも)
- 書道具や茶道具など伝統工芸品
- 親が集めていた趣味のコレクション(鉄道模型、カメラ、レコードなど)
👉 相談先:専門の鑑定士・リサイクル業者・オークション業者
相場がわからない場合は「鑑定」してもらうのが安全。遺品整理業者の中には鑑定サービスをセットで行うところもある。

古本やノーブランドの家具でも、売れば多少のお金になるものはたくさんあると思うんだ。細かいものは分割協議前に換金して、相続者が決まった時に分割するということはできないの?

相続財産を勝手に売却・換金することは基本的に避けるべきなんですが、相続人全員で合意し「処分して現金化してから分けよう」と決めていれば、問題はありません。ただし、トラブル防止に以下のことをしておくのが大切です。
- 全員で合意した文書を残す(覚書や合意書など)
- 売却後に得た現金を「遺産分割協議書」に計上して分割する
相続財産目録(遺産目録)をつくろう
実家じまい④でも触れましたがこの段階で遺産目録をつくっておくと後の手続きがスムーズです。
目録に入れるべき項目
- 財産となるもの(預貯金・不動産・有価証券・貴金属など)
- 借金や各種未払い金(ローン、未払いの税金・公共料金など)
鑑定を依頼する相談先の例
- 不動産 → 不動産会社・不動産鑑定士
- 美術品や骨董品 → 鑑定士や美術商
- 宝飾品 → 宝石鑑定士や質屋
このような具合で、資産価値を明らかにします。
目録は「遺産分割協議書」を作る前に、必ず相続人全員で共有しておきましょう。財産の全体像を早めに把握することで、後から「そんな財産があるとは知らなかった」という揉め事を避けられます。(揉めそうなときは弁護士に相談)
注意点:3か月の期限
特に遺産放棄や限定承認は、相続開始から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければいけません。あっという間に期限が来てしまうので、目録を元に早めに判断しておくことが大切です。
遺言書があれば遺産分割協議は不要?
ついでに形見分けリストも写真付きで作っておくと便利かもしれません。
まとめ
相談先の使い分け(早見表)
対象 | 主な相談先・対応 | ポイント |
---|---|---|
ゴミ・日用品 | 遺品整理業者 / 不用品回収業者 | 明らかに不要なものを速やかに処分して場所を確保 |
資産価値が明らかなもの | 司法書士 / 弁護士 / 税理士 | 権利の移転、税務処理、法律関係の整理が必要なもの |
ケース判断が微妙なもの | 鑑定士 / 専門業者 / リサイクル業者 | 美術品、ブランド品、コレクションなど価値が不透明なもの |
価値が不明なもの | 鑑定士 / 専門業者 / リサイクル業者 | 判断できないものは専門家に見せて判断を仰ぐ |
自分で探すのが大変なら、美術品買取の専門サービスを利用するのも一つの方法です
ブランド品の宅配査定と買取をしてくれるサイト。価格に納得できなかった場合は送料無料で返送してもらえます。
「財産かどうか」の判断軸
- 市場性
売れる可能性があるかどうか、買い手がつくかどうか。 - 法的な手続きの有無
権利移転や登記など、名義を変える必要があるかどうか。 - 思い出品かどうか
感情的価値はあるかもしれないけど、財産としての価値がない場合もある(例:壊れた写真立てなど)。
安全策としての心がけ
迷ったら「ゴミではなく財産かも」と考える
捨てる前に写真を撮ったり、一時保管しておいて他の相続人や専門家と確認すると安心かもしれません。処分に迷ったら“ゴミではなく財産かもしれない”と考えるのが安全です。
相続人だけで判断して勝手に捨てるのは危険
後で「その物も財産だった」という主張が出ることもあるから、要注意。
もし美術品や骨董品が出てきたら、まずは無料で査定してもらえるサービスを利用してみましょう