
司法書士さんに相談したあと、することになるのが「相続人を確定すること」です。
誰が相続人なのかを確認することが、財産の分け方や名義変更をスムーズにする助けになります。
相続人の範囲を理解する
相続人には原則として法律で決まった順番があります。(事情によっては異なることもあります)
- 配偶者 … 常に相続人になります。
- 子ども … 配偶者と一緒に相続人になります。
- 子がいない場合 … 直系尊属(両親)が相続人になります。
- 両親もいない場合 … 兄弟姉妹が相続人になります。
- 代襲相続 … 子どもが亡くなっている場合、その子ども(孫)が相続人となります。
たとえ疎遠だったとしても、法律上の相続人から外れることはありません。
離婚歴があったり、認知された子がいる場合も、その方は相続人になります。
「自分が知らない相続人」が出てくることもありますが、そのときも司法書士に相談すれば冷静に整理できます。

ちなみに親も子も兄弟も孫も甥姪もいない場合ってどうなるの?

法定相続人が一人も存在しないケースとなって、財産は国に引き取られる場合が多いです。
戸籍を取り寄せて確認する
相続人を正確に確定するためには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本をさかのぼって取得します。そして、相続人全員の現在の戸籍謄本も収集します。これらの戸籍謄本を確認することで、法定相続人の範囲と順位を客観的に証明できます。
自分で集める場合
- 本籍地の市区町村役場に請求します。
- 郵送でも取り寄せ可能ですが、本人確認書類や手数料が必要です。
司法書士や弁護士に依頼する場合
- 相続人確定のための戸籍収集を代行してくれます。
- 複数の自治体にまたがる場合や相続関係が複雑な場合もスムーズに進みます。
- 自分で調べるより時間も手間も省けるため、実家じまいを急ぎたいときに安心です。
相続人が多い・遠方にいる場合の注意点
相続手続きを進めるには、相続人全員が参加していることが前提です。
- 遺産分割協議は、相続人が一人でも欠けていると無効になります。
- 協議書には相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必要です。
- 遠方に住んでいる相続人がいる場合、書類を郵送で回すことも可能です。
人数が多いと調整に時間がかかりますが、司法書士を間に入れるとやり取りがスムーズになり、相続人同士で直接ぶつかるリスクも減らせます。

相続人が自分一人だけの場合はどうなるの?

その場合はこのあと出てくる遺産分割協議も遺産分割協議書も不要になります。各財産ごとに「相続人が単独であること」を証明して名義変更や換金を進めていく流れになります。
確認が終わったら次のステップへ
相続人の確認が終わると、次は財産を整理する段階に進みます。
不動産や預貯金、株式、保険などの資産のほか、借金やローンといった負債も含めてリスト化していきます。
👉実際には、通帳や契約書が片付けの中から出てくることも多いため、「財産整理と片付けは同時並行」と考えておくのが現実的です。(次の記事(④財産整理編⑤片付け編)で取り上げます)
まとめ
- 相続人を確定することは、実家じまいを進めるうえで最初の関門です。
- 相続人の範囲は法律で決まっており、戸籍をたどることで正確に把握できます。
- 相続人が多い場合や遠方にいる場合でも、専門家に依頼すれば安心して進められます。
- 相続人が確定したら、次は財産の整理へ。片付けと合わせて進めることで、実家じまいの全体像が見えてきます。
